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豚肉と牛肉、どっちが旨い?




…なんて、バカなタイトルをつけてしまったけれど、ぶっちゃけて言ってしまうと「どっちが旨い?」なんてナンセンスな話だってことぐらい分っている。分ってはいるが、タイトルを決めてしまったものは仕方ないので、強引に話を進めていくことにする。

一般に、東京は豚肉、関西は牛肉を好むということになっている。
単に「肉」といった場合、関西の人はほとんどが「牛肉」を連想するのに対し、東京では「豚肉」を連想する人が多いようだ。

事実、東京は豚肉のうまいところで、そこいらの普通の店に入ってもトンカツがすごく美味しかったりする。関西のトンカツがマズイというわけではないけれど、こと豚肉に関しては東京人のほうが「食い方を心得ている」という感じだ。

肉じゃがを作るときも、関西の家庭ではまず、ほぼ間違いなく「牛肉+ジャガイモ」で作るのに対し、関東では「豚肉+ジャガイモ」という組み合わせになる。

豚肉は鮮度が命だから、肉は新しいほどよい。一方牛肉は2週間程度の熟成期間が必要だという。そしてまた、豚肉は焼くと「サクサク」という心地よい歯ごたえがあるが、牛肉は、霜降りの高級和牛を除くと概ね、固い。
ホラ、たまに高級ステーキ店なんかにいくと、「箸で千切れるくらいお肉が柔らかい!」なんて喜んだりしてる人、いるでしょう?
柔らかい方が珍重されるのは牛肉。豚肉は、「歯切れのよさ」と「ジューシーさ」がよしあしの見分け方なのだが、あまりそういうことをうるさく言う人は見たことがないなあ…。

牛肉は生でも食べるくらいだから、あまり火を通しすぎる必要はない。火を通しすぎると固くなる。ステーキでもミディアム・レアあたりが人気だ。一方豚肉は、最近はそんなことはないというが、寄生虫が怖いので伝統的に「徹底的に火を通す」ということになっている。これが、煮物になった場合の両者の処遇の違いに結びついている。

関西では、まずすき焼きに豚肉を入れるということは考えられないが、関東の家庭では割に日常的に行われているようだ。牛肉は煮すぎるとすぐ固くなるので、ちょっと色が変わったあたりですぐに食べなくてはならない。それが究極まで進化したのが「しゃぶしゃぶ」という食べ方であって、これは薄切りにして茹でても味の充分残る「旨みの濃い」牛肉ならでは成立する食べ方で、最近は「豚しゃぶ」というものもあるけれど、やはり味が弱いように思う。豚肉だって煮すぎれば固くなるが、牛肉ほど劇的な変化はないし、なにしろ価格が安いのでその取り扱いはややぞんざいになるのもやむをえないだろう。

もうひとつ、牛と豚の大きな違いは「皮を食べるか食べないか」という点にある。中華料理では肉の王様といえば豚肉で、牛よりも珍重される。中でも仔豚を皮ごと丸焼きにして、北京ダックのようにその皮を食べるのは最高のご馳走のひとつだ。確かに仔豚の皮はうまい。この皮と、その下の脂と、肉を一塊にしてコトコトトロトロ煮込んだのがトンポーロー(東菠肉)。日本では皮をはいで脂と肉だけで煮込むことが多いが、それでは本当はダメなので、皮が煮崩れを防ぎ、ゼラチン状のプルプルしたなんとも美味しい部分になるのだ。


…なんだか、こうして書いていると豚の肩ばかり持っているような感じだけれど、「じゃあお前はどっちが好きなんだ」といわれると、
僕は「牛肉は別腹」と異名をとるくらいの牛肉好きだから面白い。

最近はめっきり減ってしまったけれど、以前「シュラスコの食べ放題」という店があちこちに流行したことがある。
牛肉を、15~20センチ四方くらいの塊に切ってバーベキューのように細身の剣に刺し、それを炭火であぶる。表面からどんどん焼けていくが、焼けた部分からどんどん客の皿に切り分けてゆく、という食べ物だ。僕はこれが大好物で、30歳を過ぎてからも1キロくらいは一度に食べていた記憶がある。(20代のベスト記録は2キロ)連れがあった場合はたいていその勢いにびびる。

日本人も随分肉を食べるようになったけれど、「食べ放題」といわれても、平均的な摂取量は350グラムくらいなのだそうだ。アルゼンチンやスペインの人は、平均で650グラムくらいはペロリだというから、僕は食肉でいうと日本人離れしていることになる。

僕の肉の食べ方はひたすらシンプルで、とにかくステーキ、とにかく塩コショウ。(あとはせいぜい醤油)。霜降りなどの柔らかいものよりも、しっかりグラス(牧草)を食べて育った、赤味と脂身のくっきり分かれている肉が好きだ。

先日、バイキングをやっているレストランに行ったのだけれど、
「もうおなか一杯、デザートもいらない」という状態になっていて、
忘れた頃に出てきたサイコロステーキだけはペロリと食べられた。
「牛肉は別腹」の面目躍如かな。
by y_hisakata | 2005-04-28 15:56 | グルメ・食べ歩き
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